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地元で、宇宙の部品を
つくっていたとは。

これまでいくつかの仕事を経験してきましたが、製造業に携わるようになったのは、この会社に入ってから。地元鳩ヶ谷のハローワークで見つけたときには「鳩ヶ谷に、宇宙の部品をつくっている会社があったんだ」という驚きがありました。また個人的にF1も好きだったため、この会社に興味を持つようになったのです。面接のときに初めて工場を訪れたのですが、顔を見合わせると必ずあいさつをしてもらえましたし、明るい雰囲気のなか作業をされている様子が伝わってきて、印象に残りましたね。ただ、製造業に就いたことがなかったこともあり、最初は高速回転する砥石や、飛び散る火花を見て正直なところ怖いと感じていました。
ただ、入社してから機械や材料の扱い方を教えてもらい、実践を積んでいくなかで安全に扱うことに慣れ、そうした思いは自然と消えていきましたね。1年目は、主に精密測定機器部品の研削加工を担当。削っていくうちにだんだんと面が綺麗になっていくのが面白く、モノづくりの楽しさを感じ始めました。

2年目、F1担当に。
もちろん「やります」と
答えた。

元担当者が退職したタイミングということもあり、2年目からは、F1部品の研削加工も担当するように。もともと興味のある分野だったため、担当できると知ったときにはうれしかったですね。
しかし、F1部品の精度は1ミクロン単位で、かつ納期も短く、技術力と対応力が問われる仕事でした。タイムリミットが決まっているため、段取りには毎回気を使っていますね。想像以上に難しい作業に最初は苦戦しましたが、初めて間近でレースを観たときには、それまでの苦労を忘れるくらい感動しました。「自分もこのレースに携われているんだ」と思うと、やりがいを感じずにはいられませんでしたね。残念ながら初レースでは勝てなかったのですが、自分の加工次第で結果もよくなると思うと身が引き締まり、それ以来さらに気合を入れて加工に励むようになりました。レーシングカーに速く走ってもらえるように、加工も手速さを意識するようになりました（笑）。

自分にしか、扱えない
機械がある。

入社5年目となった現在は、研削加工のほかに、切削加工も担当しています。研削加工は表面を綺麗にする仕上げ加工なのに対し、切削加工は成形のための加工。社内に専用の加工機がなく、また技術者もいなかったため、社内に導入する前から職業訓練校に通い、技術を習得していました。
つまり、今のところ社内で切削加工ができるのは私だけということ。自分の力を試す大きなチャンスだと感じています。また、現在はアメーバ経営委員も任されるように。コンサルタントのひとを交えた経営会議に参加したり、毎月の売上設計をしたりと、現場を担当しながら経営にも携わるようになりました。ひとつの部品を何日で製作するのか、材料をいくらで購入するのか、残業をいかに減らすかなど、より俯瞰した目線で作業を捉えることができるようになりました。自分が立てた計画が達成されると、会社全体がより良い方向に進むことができるので、大きなやりがいを感じますね。

F1に代わるものは何か。
今まさに、考えている。

今後は、切削加工の対応領域を広げるとともに、研削加工の技術力向上を目指していきたいですね。というのも、最近アルミの研削加工に取組み始めたのですが、通常の材料と違いかなり材質が柔らかいため、加工の精度を保つのが難しいのです。アルミは、ベテランでも1日で仕上げられないほど難易度の高い材質。
目で見るだけでなく、耳で聞いて削るなど、五感を研ぎ澄ませながら作業にあたっています。一方で、入社当初から強い思いのあったF1部品は、残念ながら時代の流れとともに、まもなく製造終了に。それに伴い、当社でも取り扱うことができなくなります。思い入れの強い分野だったため、携われなくなると思うと悔しいですが、この部品の加工によって培った技術は、他の領域でも活かすことができるはず。同じように熱意を持って携われるものを、これから探していきたいと考えています。最後になりますが、この会社に向いているのは、性格の明るいひとだと思います。技術力は入社してから磨くことができる一方で、明るく向き合う気持ちがなければ、大きく成長することはできません。大切なのは、何でも前向きに挑戦する気持ち。楽しく仕事ができるひとと、一緒に働きたいですね。